about Keith Jarrett and Miles Davis's ensemble

キース・ジャレットの伝記(2020年7月英語版)と、マイルス・デイヴィスの結成したバンドについて、英日対訳で読んでゆきます。でゆきます。

「喰らふべきアーティスト」キース・ジャレット

キース・ジャレットは、「珍味/珍獣」でなく、日々の糧として「喰らうべきアーティスト」。なぜなら、彼は、「基礎」と「独自性」が確かで、かつ多彩さで人を魅了する…彼の伝記を半年読んで、そう考えます。因みに私は不勉強で、彼の伝記を読み始めるまでは、殆ど彼のことを知りませんでした。

どんなエンタメも、取っ付き難いものはあります。でも食わず嫌いを棄てれば、楽しみが広がるだけでなく、この世界に自分とつながるものが増えて良いと思います。

以下、石川啄木の随筆「喰らうべき詩」の抜粋です(彼と石川啄木との関連性は、全く関係ありません)。

 

くらうべき詩」とは電車の車内広告でよく見た「食うべきビール」という言葉から思いついて、かりに名づけたまでである。
 う心は、両足を地面じべたに喰っつけていて歌う詩ということである。実人生と何らの間隔なき心持をもって歌う詩ということである。珍味ないしはご馳走ではなく、我々の日常の食事の香の物のごとく、しかく我々に「必要」な詩ということである。――こういうことは詩を既定のある地位から引下すことであるかもしれないが、私からいえば我々の生活にあってもなくても何の増減のなかった詩を、必要な物の一つにするゆえんである。詩の存在の理由を肯定するただ一つのみちである